一般に「夏枯れ相場」と言われますが、今年の夏はドル建て金価格上昇の可能性があります。
この記事の要約
今回の記事では、まず4つの価格構成要素が全てポジティブでも金が上がらない場合もあれば、逆でも下がらないことがあることを確認。
その背景にあるのは、市場心理やコンセンサス。
この8月に入って、4つの金価格構成要素が全てポジティブとなり、この市場心理やコンセンサスまでもがポジティブになる時が来る。
つまり、金の価格が急上昇する可能性が高い。
では、このメカニズムや材料を解説していきましょう。
価格構成要素がポジティブでも金が上がらない!?
金の価格は、マーケットのコンセンサスでも左右されます。
金の価格構成要因は、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
この4つの要因全てが金にとってポジティブであれば価格は急騰、3対1であれば上昇、2対2であれば動かず、となると以前から言っています。
しかし、4対0の状況でも金価格が上がらないことがありませんか。
どんな場合かといえば、マーケットの参加者が金の価格が上がらない、と思っているときです。
これを市場心理やコンセンサスといいます。
市場心理やコンセンサスとは?
その市場心理やコンセンサスとは、極めて曖昧なものだと感じませんか。
問題は、それをどうやって数値化していくかですが、その解決方法が以下になります。
金の騰落
日 週 月 半年 年間
0.52 -0.71 2.18 1.89 14.43
上記のデータは7月25日のNY時間の引けをベースにそれぞれ日、週、月、半年、年間で何パーセントの騰落があったかを示しています。
この説明だけではわかりづらいのでNYダウを示します。
7/25 NYダウ引けデータ
日 週 月 半年 年間
0.07 1.39 5.11 5.07 11.58
NYダウのデータを見ると、日から年間までずっと騰落が拡大しています。
わずかに月「5.11>5.07」になっていますが、「日<年間」のように日から年間まで順繰りに拡大して行っています。
以下がNYダウの日足チャートです。

見ていただきたいのは、NYダウの上昇は7月10日から始まっており、7月25日まで12連騰したということです。
そして7月24日からは、上記で示したように「月>半年」の関係となり、上記の足は7月26日まで入っているのですが、その前日は勢いが削がれているように見えます。
これは、その7月24日から「月5.11>半年5.07」となったので連騰が終了した、と判断ができるのです。
つまり、「日<週<月<半年<年間」と騰落の数字が上昇していくと、かなり強い相場となり、反対の場合は急落を示す相場となるということです。
今のマーケットでこういう症状が出ているのは、スパイダーズ(S&P)になります。
7/25 S&P引け
0.56 0.27 5.51 14.01 16.49
わずかに「日0.56>週0.27」と逆転していますが、これは時間ですぐに解決するでしょう。
つまり、NYダウのようなかたちにSPもなっていくということです。
では、なぜスパンが長いものほど高い数字になっていくと、マーケットは上昇するのでしょうか。
それは、前提としてマーケットは年間の比較が大事ですが、日々や週間、月間の騰落の比較でマーケットを見ている人が多くいることは想像がつくでしょう。
数字が順繰りに上昇すると、この人たちが買いになっていると判断する確率が非常に高くなります。
このような状態になった場合、市場心理や参加者のコンセンサスが買いの方向に向いているということになるのです。
8月のドル建て金価格急騰の可能性について
再び金の解説に戻りましょう。
7/25引け
0.52 -0.71 2.18 1.894 14.43
この場合、「日<年間」となっていないのは「日>週」、「月>半年」になります。
まず、週間足を見てみましょう。

7月26日現在は10対10くらいで、1964ドル程度。
1週間前の値段は一番左端で、そこから週間を通じてだんだんと下がってきていますが、7月26日と値段が同じ水準になるのは21日以降です。
26日の1週間後も1964ドル以上になれば、週間で金価格は上昇していることになります。
1週間後は8月1日です。
以下は、ドル建て金の6ヵ月間の推移になります。

注目は左端の高値で、ここは2月1日になり、その半年後が8月1日です。
2月1日以降、価格は急落しており、その後の6ヵ月間の騰落は月の上昇よりも上昇してしまうことがわかっていることになります。
日と週の逆は簡単に解消しますが、6ヵ月の騰落は8月1日以降に解消する可能性が高い、ということが言えるでしょう。
つまり、8月1日以降には「日>週>月>半年>年」となる可能性が高く、その場合、ダウのような12連騰が起こり得ることになるのです。
これがドル建て金価格が急騰する可能性の話になります。
円建て金はドル安なので、円高です。
ですから保合いから下がり気味になるでしょうが、円高で下がったところが中期的に買いになるのはいつものことです。
金の価格構成要素からの展望
さて、データの並びによるコンセンサスは、8月1日以降に買いになる可能性が高いことは理解できましたか。
では、価格の構成要因はどうでしょうか。
まず、【1】ドルは現在、ドル安気味で推移しています。
これはユーロ圏が利上げを意識しているのに対して、ドルは利上げの打ち止めを示しているからになり、ユーロ高ドル安によって示現していると思われます。
もちろんFRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)の声明によっては変わる可能性はあるでしょう。
【2】金利は去年、ドルは0.75の利上げを4回も行いました。
それと比較すれば、今年は利上げのピッチが低いことはほぼ確定的で、金利も安い可能性が高いのです。
【3】GDPについては、7月25日にIMF(国際通貨基金)からWEO(世界経済成長見通し)が発表されました。
まず、以下が前回4月分です。

以下が、7月25日発表分になります。

アメリカの2023年の成長予測は、4月は1.3でしたが、7月では1.8に上方修正されました。
つまり、GDPも拡大です。
最後に需給については、中銀の買いによって引き締まったままの現状に変わりがありません。
以上のように、コンセンサスも価格構成要因も強気を示しています。
おそらく、近々に金の価格が急上昇する可能性が高いと言えるでしょう。
















