今回は、昨今叫ばれている株価の暴落説やドル円相場の円高予測、アメリカの対露・対中政策について根本的なお話をいたします。
この記事の要約
今回の記事では、そもそも上がってもいない株価が暴落するという考え方はありえない。
ドル円相場も、急騰があったのだから戻りがあって当然。
重要なのは、長期的か中期的かの視点の違い。
そう考えれば、アメリカの対露・対中封じ込めも長期的にはうまくはいかない。
かつての対ベトナム戦争や昨今の対イラク戦争、アフガン戦争同様に失敗に帰結するであろうことを見ていきましょう。
株価の暴落とは?

株価の急落とは、2022年の前半のように前年比で35%も高い状態のときに起こるものであり、現状で去年よりも安い状態で暴落なんか起こるわけがありません。
暴落と言う人たちは、上がりもしないものをなぜ暴落するというのか不思議です。
ドル円相場にしても同じで、去年の10月に33%安になるのですから、急騰して当然です。
それが151円から127円まで急騰したのですから、戻りがあって当然でしょう。
3月から10月まで7ヵ月間かけて急落したものが、10月から1月の3ヵ月でやったというのも足が速すぎます。
冷静に、151円から127円までの急騰も尋常ではない円高だということです。
ところが円高派の皆さんは、110円から151円までの円安に意識が行っているから、まだ円高だ、というのです。
長期的に見るか、中期的に見るか
長期的に見るか、中期的に見るかの問題ですが、中期的な見方、24円の円高をおかしい、と感じることを採用しているだけの話なのです。
長期的には円高だとは思っています。
例えば、ユーロが年間で15%の急騰を演じたわけですが、かなりの急騰です。
このままユーロが上昇することに賭けるか、それとも反転するかの判断です。
その場合、ドルインデックスが114ポイントから104ポイントまで急落していますし、また悪化すると見込まれた雇用も良いのですから、ドルは反転するでしょう。
ゆえにユーロはドルに対して売りだ、ということになります。
ただし円は相変わらず弱いままですから、ユーロに対してもドルに対しても弱いでしょう。
前回解説したアメリカのリセッション入りの可能性も同様で、マーケットは変化するけれど、その可能性は非常に低いということです。
https://kinkaimasu.jp/lounge/2023/02/04/will_the_us_economy_enter_a_recession/
ドルの方向性が変わる兆候があるのに、マーケットが変わらないわけはない、ということです。
対ロシア封じ込めのゆくえは?

ロシアはエネルギー大国です。
コロナ禍で全ての売り上げは落ちたでしょうが、生きるために必要な電気代やガソリンの需要は大して減っていないでしょう。
ロシアは、その売り上げの大して落ちないエネルギーを売っているのです。
要は店頭販売からオンラインに移行しただけで、生活必要物資の需要は落ちないわけです。
エネルギー大国であるロシアは、アメリカやサウジアラビアよりもエネルギーを安く売ることでもっていた国です。
100年前からロシアはそういう商売をしています。
いくらソ連から禁輸をしても必ず買う国があり、2、3年もすれば西側も協定違反と承知しながらもロシアからエネルギーを買うでしょう。
それを躍起になって潰そうとする動きは、アメリカの徒労に終わるでしょう。
アフガン、ベトナム、湾岸戦争の繰り返しのようなものです。
対中封じ込めも同じ

一方の中国は、工業品を廉価で売りたいだけです。
中国の工業製品なくして、今の生活は成り立ちません。
その工業製品の買い手である西側諸国を刺激するような、台湾侵攻を実行するという非現実的な言説にはお付き合いなどできないのです。
中国の工業製品を下に見ている人が多いでしょうが、かつてのサムスンやヒュンダイを思い出してください。
今やテレビは韓国製の方が日本製よりも良いというのが世界のコンセンサスです。
おそらく今度は中国製品が日本や韓国製を上回ってくるでしょう。
それを特許を盗む行為としていくら規制をしても、日本、アメリカ、オランダ製よりも良いものを独自に開発されるだけだ、というのは歴史が証明しています。
アメリカは一体何がしたいのか?

アメリカはイデオロギーが違うと攻撃をします。
しかし、攻撃をして何をしたいのでしょうか。
攻撃して占領せず、民主主義を導入しようとして成功した事例が日本以外にあったでしょうか。
ベトナム、イラン、イラク、アフガン、全て失敗しています。
同じことをやって違う結果を求めるとは、進歩がないということです。
冷静に見るとおかしなことをやっているのは、アメリカなのです。