前回は、これからの金のマーケットは、ドルや金利の影響を多少受けるかもしれないが、根本的には需給相場であるということを示しました。
今回は、その根拠を改めて示します。
この記事の要約
前回の記事は以下を参照。
https://kinkaimasu.jp/lounge/2023/02/28/gold_prices_are_likely_to_rise_even_as_interest_rates_rise/
今回の記事では、金価格の構成要因である【1】ドルと【2】金利と【3】GDP(国内総生産)の過去50年の推移と実際の金価格の間にある差は、需給で説明するほかなし。
つまり現状、金は需要に対して供給不足と言える。
そしておそらく、人々の意識の中に金は足りないというイメージが定着していることから、まだまだ金価格は上昇するだろう。
では、具体的にその根拠を示していきましょう。
金価格と金利とドル、50年間の動き
下記のグラフは、過去50年の金価格(緑線、左軸)と金利(青線、右軸)になります。
値段ではなく、50年前から何パーセント動いたかのチャートです。

青線の金利は過去50年で40%下がり、緑線の金価格は2,300%の上昇しました。
次にドルとも比較してみましょう。

青線のドルは50年かけて5%程度しか上昇していませんが、金は2,300%。
金の適切な価格の導き出し方は「ドル+金利」、ここではドルは50年で5%のマイナス、金利は40%のプラスですので、50年間では差っ引きで35%上昇すればいいはずです。
ところが金は、50年間で2,300%も上昇しています。
この差、2,265%はどこに行ったのでしょうか。
GDPと金価格の50年
価格の構成要因は【1】ドル、【2】金利、【3】GDP、+需給です。
GDPも見てみましょう。

50年前の値は543、現在の確定している青線の右端は23,315で、率にして400%程度です。
となると計算はドルがマイナス5%+金利がマイナス40%+GDPがプラス400%=365%。
金は50年間で≒2300%上昇しているので、計算が合いません。
では、価格構成要因として信用できないのはどの数字でしょうか。
金の需給は謎

価格構成要因のうち数字が確定していないのは需給だけです。
金というと、皆さんどういうイメージでしょうか。
隠し財産というイメージはありませんか?
そして佐渡金山や卑弥呼の金印、エジプトのファラオの時代から存在するものです。
その何千年の間に掘り出された金は、代々木のオリンピックプール3杯分なんて諸説がありますが、本当でしょうか。
分かるわけがありませんよね。
つまり需給など、謎と言うしかないのです。
金価格の矛盾は需給で説明するほかなし

私たちが需給を推測するのには、毎年の新産の金とそれに対する需要しか計算できません。
実際、隠し財産なのですから、どのくらいの金が地球上に残っているのか、分からないのが通常です。
例えば金箔入りのお酒がありますが、体で消化されるわけでもなく、お尻から出て行って、地球上から消えるわけではありません。
金は永遠の輝きという意味はそこにあります。
つまり、分からないのです。
今の金が2,000%も高いのは、この50年の間に需要が2,000%増えたからです。
普段は金利とドルの動きで金の価格は説明できますが、長い目で見たら金は需給で説明するほかないのです。
金価格とドルと金利、ここ1年の動き
下記は1年前の金、金利、ドルの比較です。

グラフは見にくいので、以下に数字を書き記していきます。
数字はいずれも前年比の2月14日引け段階の数字です。
【1】ドル +7.53%
【2】金利 +1.71%
【3】GDP +1.00%-7.53+(-1.71)+1.00=-8.24
この意味は、金の価格は従前のドル、金利、GDPを計算すれば金の価格になる、という意味になります。
その数字は-8.24%でなければいけない、という意味です。
ところが実際、2月14日引け段階での金の前年比は+0.06です。
この差は何かといえば、需給だと言っているのです。
現在、金は需給状況において、約10%くらい供給不足状態だということです。
金の高騰は当面続く

金は、世界中の屋敷やお城の中に眠っている可能性があり、それらを放出すれば、需給は緩和するでしょう。
しかし、実際は1,800ドルで買いたいとオファーしても、応じる売り手がいないので約定せず、ということです。
2,000ドルでオファーしたら売る人がいるかもしれない、という状況で、需給というのは人の気分によるものです。
大事なことは、人の気分は極端な話、1秒後には変わります。
現在、約10%の供給不足ということは、おそらく人々の意識の中に金は足りないというイメージが定着しています。
ここで売りたいと思っている人はまだまだ上昇する、という意識になっています。
こういう状況であれば、おそらく金はまだまだ上がります。
そして前年比で30%高になったときに、やりすぎだ、という声が噴出してきます。
皆さん、マスク危機の状況を思い出してください。
1枚100円の紙マスクを買う気になるのか、という問題です。
そこで代替品のアベノマスクや布マスクが普及して、値段の高騰が押さえられる状況でした。
去年の金は1830ドル平均と考えると「1830×1.3」で、その答えは2380ドルくらい。
このくらいまで今年中に行けば金は天井を迎える可能性がありますが、そこまで行く可能性は現時点ではありません。
となると、金の高騰は当面続くことになります。
















