ニューヨーク商品取引所の金先物(NY金)が4月4日に史上最高値を更新しました。
今回はこの背景と今後の見通しを記していきます。
この記事の要約
今回の記事では、金の価格構成要因である
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
に則って、4月4日にNY金が史上最高値を更新した理由と今後の展望について考察。
端的に言えば、この原因はSVB(シリコンバレー銀行)破綻の影響で、ドルと金利が同時に安くなる中、発表された雇用統計と景況指数が両者にネガティブな結果となったため。
しかし今後については、ドルの指標となる雇用統計はドル高を暗示し、金利の指標となるインフレ指数は金利安を暗示。
そこにアメリカで、EVなどの自動車販売の税制優遇策が始まることから、ドル高・金利高になる可能性が高く、金の高値は一時的と言える。
では、具体的に見ていきましょう。
ドルの価格面からの要因
以下のグラフは、3月5日から4月5日までのドルインデックスの推移です。

ドルの高値は3月8日、SVBが破綻した3月10日直後から価格が大きく下がっています。
これは、本来ならリスク回避であればドル買い、債券買い、金買い、スイス買い、円買いになりますが、リスクの本場がアメリカだったので、ドル買いが排除された結果です。
以下のグラフは、3月6日からのドル建て金価格(オレンジ線)、米ドル・スイスフラン(青線)、ドル円(緑線)になります。

緑線の円、青線のスイスフランは買われ、ドルが売られた結果、オレンジ線の金が買われるという、まさにリスク回避の動きでした。
なお、3月16日前後にスイスフランが勢いよく売られたのは、スイスの有力銀行、クレディスイスがUBSに吸収合併された結果です。
その後、スイスでの金融不安は収まったので、再びスイスフランが買われました。
一方で、ドルは預金の流出が各行で相次ぎ、いまだに金融不安がくすぶっているので、ドルは売られるという結果になります。
このドル安は、金高の背景になります。
金利面からの要因
以下のグラフのとおり、金利もSVB破綻直後の3月10日から下がり、クレジットスイス吸収合併で落ち着きましたが、元の水準には戻っていない状態です。

この金利安も金高の背景になります。
4月4日のドルと金利の動き
上記のドルと金利の動きの直近、右端の動きを見てください。
2030ドルの新高値を更新したのは、4月4日に金利もドルも大きく下がったからです。
では、なぜドルと金利が下落したのでしょうか。
まず、ドルとは米雇用のことです。
その雇用関連の発表が4月4日にありました。
以下のグラフは、JOLTsという雇用求人数の推移になります。

2021年から求人数は増加傾向にありましたが、この発表では2月の雇用求人数は2年ぶりの低水準になりました。
結果、ドルが下がったのです。
金利の方は4月2日に、全米の製造業の景況指数であるISM製造業の発表がありました。

この見方は、50を境に景気の良し悪しを判断する指数になります。
4月2日にここ2年で最低の数字を出し、その上に景況の好悪判断の50をも下回っていることから、不景気感が加速したのです。
景気が良くないということは、企業の経済活動を阻害する、すなわち資金調達をして雇用し、製造して販売して利益を出すという活動が低下するという意味になります。
その資金調達が不活発なのですから、金利は下がるという結果になります。
直接的な影響は4月4日のJOLTsの求人数減ですが、その前のISM製造業の不振も金利安をも加速させた結果、2030ドルという金の新高値を更新したのです。
高値更新の原因となったドルと金利の展望は?
このドル安と金利安が継続していけば、まだまだ金は高くなる、反対にドル高・金利高に反転すれば、金はすぐに下がるという判断になるでしょう。
今後の予定を見てみると4月7日に雇用統計、その翌週にはCPI、インフレ指数の発表があります。
まず雇用統計ですが、最近は以下のような結果になっています。

新規雇用者数は、30万人が平均で悪い数字ではありません。
コンセンサスは24万人で、20万人以上の雇用があれば景気は拡大するというコンセンサスがあるので、悪くはありません。
雇用はドルと連動しているので、ドルは高くなるでしょう。
一方、金利の重要指標であるインフレ指数は4月12日の発表になります。

コンセンサスは5.8と若干低下しており、金利は安くなる見込みです。
となるとドル高・金利安になる可能性が大きいのですが、
金の高値は一時的?
ここで重要になるのは前回解説した、3月28日に発表されたアメリカでのEVなどの自動車販売の税制優遇策です。
https://kinkaimasu.jp/lounge/us_auto_industry_revival_and_demand_for_platinum_and_palladium/
自動車産業は「産業のコメ」とも言われ、裾野の広い産業で、広範な経済活動に大きな影響を与えます。
※日本電産の永守重信会長は「モーターが産業のコメとなる!」といっていますが。。。
つまり自動車産業が復活すれば、雇用も金利需要も旺盛になってくる見込みです。
ただし開始は4月16日からであり、まだ先の話。
もちろん、メーカーや自動車販売店はこれに向けて準備をしていることでしょう。
顧客がローンを組めるようになる4月16日以降、ローン需要が拡大することになるでしょう。
となると、金の価格は直近はマチマチの動きになる可能性はありますが、4月16日以降はドル高・金利高になる可能性が高いと言えます。
つまり、金の高値は一時的になる可能性の方が高い、ということができのです。
目先、押し目を形成する公算の方が高いと言えるでしょう。
















