今回は、世界の金生産量と新産金供給国の最新情報から、金相場の今後を読み解きます。
この記事の要約
今回の記事では、最新の金の供給を考える。
- まず、世界一の産金国が南アフリカというのは今は昔。
- 今の世界一は中国、そして2位はオーストラリアではなく、ロシア。
- メキシコやペルーなど、古くから産金国として知られる国は、軒並み金の生産を減らし続けている。
- 一方で中国とロシアが目下躍進中。
では、データとともに見ていきましょう。
世界の最新金供給国リスト
2023年の新産金の供給国は、
1位 中国 375トン
2位 ロシア 324.7トン
3位 オーストラリア 313.9トン
となっています。
南アフリカは生産量は92.6トンで下位に位置しており、アフリカ大陸限定でもガーナ、マリ、ブルキナファソに次ぐ4位の地位に甘んじています。
注目すべき世界の金生産量
かつて世界1位であった南アの生産が激減しているのは、電力問題やコロナ禍などもあるでしょうが、鉱山自体が枯渇してきているからと考えられます。
昨今の南アランド高は、鉱山資源の獲得によって高いと説明されています。
しかし、全ての鉱石の中でも高い地位にある金の生産量が減っている状態で、それは本当なのでしょうか。
世界の金生産量は以下のグラフのとおりで、左端が2010年、右端が2022年になります。
2020年に生産量が減っているのは、コロナ禍で鉱山の操業ができないためと考えられます。
言えることは、需要は拡大していますが、それに見合うだけ生産量が増えていないから、価格が上昇しているのだろうということです。
問題は産金コスト
下記のグラフは、2020年からの金のコストです。
年々上昇してきています。
これは南アのように鉱山が枯渇しているのであれば、採掘コスト(産金コスト)は上昇するはずです。
2023年第3四半期にワールドゴールドカウンシルが形成したコストの発表をご覧ください。
この意味は、95%以上はコスト内に収まっていますが、残り5%程度は金色で線が引かれた金価格、2000ドル以上になってきているという意味です。
高いもので1トロイオンス当たり5000ドルから6000ドルになってきています。
ほとんどは金の市場価格以内で生産されており、金の価格を値上げする必要はありません。
しかし残りの5%は採掘を続けても儲からないので、採掘をやめる可能性があることを示しています。
生産量を減らす古豪の産金国
ペルーの金生産量をご覧ください。
以下はメキシコの産金量になります。
これら古くから産金国と呼ばれる国は、どこもピークから産金を減らしているのです。
メキシコは、月間生産量7kg程度で、1年で80kg程度しか生産ができていません。
黄金の国というイメージがあるペルーも、日本の佐渡金山と同様に枯渇してきていることが見て取れます。
躍進する中露の産金とダークホース
下記のグラフは、産金国と躍進してきているロシア(青線)と中国(オレンジ色線)の2020年から2022年の産金量です。
コロナ禍でもロシアは生産量を増やしている一方、中国の生産はピークを打ったかのように減少しています。
こう考えると、今は順調に金の産金量は増えていますが、今後は新産金のコストが上昇し、ますます生産が減っていくと予想されます。
となれば、先々の金の価格はどうなるのか、ということです。
そして忘れてはいけないのが日本の佐渡島、同様に中ロ国境に金の埋蔵があるということは、おそらく北朝鮮にも豊富な金があるという可能性があります。
この記事のまとめ
今回の記事では、南アやメキシコ、ペルーなど古くからの産金国が産金量を減らし続けている。
一方で中国とロシアの産金が躍進しているが、その中国もピークを過ぎた観あり。
つまりゆくゆくは、世界の産金量は減っていくだろうということ。
そうなれば金価格は上がるほかない。
また、北朝鮮が金供給の主要国になるという非現実的な話が現実のものになる可能性もあるということ。
という内容でした。