目次
これからの金買いの材料は各国中央銀行による買いだと言われているようですが…。
この記事の要約
今回の記事では、期待されている各国中銀による金買いについて、実際のところを検証します。
- 各国中銀の金買付の規模は?
- 宝飾品やテクノロジー、投資需要と中銀の金買付を比べると?
- 金の需要を押し上げているのは本当に中銀の買いなのか?
では、始めましょう。
中銀の金買いの統計をチェック
中国を含めた各国中央銀行の金の購入は2022年以降、毎期200トン程度を購入しており、それ以前と比較して多く買っていることが下記の表で確認できます。

注目すべきは、通常なら価格が上昇すれば需要が減少するものですが、中銀の金買いの場合は減少していない点です。
中銀の金買付を宝飾品需要と比べると…
この顕著な例は宝飾品需要になります。

宝飾品需要は近年、価格が高騰するごとに減少していることが確認できます。
ただ注意しておきたいのは、中銀の買いが昨今では毎期200トン程度であるのに対して、宝飾品需要は毎期350トン程度ある点です。
需要の幅としては中銀よりも宝飾品の方が大きいということになります。
例外的な金のテクノロジー需要
通常であれば宝飾品需要のように、価格が上昇すれば需要が減るのが真理のように思われます。
しかし、金の場合はおかしな現象が起こっています。
例えば、今はAIのブームですが、下記のようにテクノロジーによる需要は価格が高騰してもあまり変わりがありません。

ただし、左軸を見れば明らかですが、中銀で200トン前後、宝飾品で350トン前後に対して、テクノロジー需要は毎期80トン程度とあまり多くないことも関係があるでしょう。
金の投資需要は?
そして、ETFなどの投資需要は以下のようになっています。

テクノロジー需要同様、価格が上昇しても需要は衰えず、反対に増えている状態です。
さらに言えば、左軸を見ると中銀の200トンを大きく凌駕する550トン程度の需要があります。
つまり材料としては中銀の買いと言いますが、需要を上伸させているのは投資用の需要なのです。
投資需要の内訳を見ると…
投資需要の内訳は以下のとおりです。
地金
政府発行コイン
民間用コイン
ETF
以下のグラフでは紫が地金、青が政府発行コイン、緑が民間用コイン、ピンクがETFになります。

ETFや民間・政府用のコインは大した需要がありませんが、地金はものすごいものがあります。
投資需要は全体で550トン程度と記しましたが、以下のグラフのとおり、地金は2026年第1四半期で400トンの需要があり、投資用需要の7〜8割を占めています。

なぜ中銀の金買いばかりが注目されるのか?

投資需要550トンのうち、地金需要は400トンもあり、中銀の買いは200トンしかありません。
地金の需給を見れば正確な需給がわかりそうなものです。
しかし、地金需要にはキロバー、オンスバーなどいろいろあり、これらの需給統計を取っているところがないのです。
わずかに民間のロンドンの倉庫やNYのCOMEXは預かっている金塊の量を発表していますが、全体の需給を把握することにはなりません。
一方で中銀の買いは政府の資産であり、統計を出す義務があります。
つまり、公開されるがゆえに注目が集まりやすいのです。
金塊の需給は単純で、価格が上昇すれば需要が増えると考えればいいでしょう。
今の金価格は5500ドルから4000ドルまで下がっているので、金塊の需要は減っていきます。
ゆえに価格も下がりやすいのですが、アナリストは買いをアピールするために、中銀の買付をことさらに取り上げているのです。
この記事のまとめ
以上、確かに値段など関係なく中銀は金の買付を行っていることは事実。
ただし、テクノロジーの金需要など値段に関係ない需要が一定数あることも事実。
結局、金の需要の一番を占めているのは地金。
しかし、実態がわかりにくいというマイナスの作用の結果、わかりやすい中銀の買いを材料視する向きが多いというだけの話。
という内容の記事でした。
















