目次
インフレの終息が騒がれる金融市場ですが、今回は現状の自動車業界についてと、インフレが終わらない理由について解説していきます。
この記事の要約
今回の記事では、今後の自動車業界の課題となるのは、コネクト、オート、シェアリング、電気自動車の「CASE」。
- これらを実用化できない自動車メーカーは生き残ることはできない。
- 今後の自動車業界再編のイメージは、自動車の製造提供会社とサービスの提供会社が一緒になるということ。
- ここにおいて、AI技術革新における最大の問題点とは、電力消費量がさらに拡大していくことがほぼ確実ということ。
- 電気は生活に必須であり、この値段が上昇すればインフレが継続することになる。
- しかしながら、世界のインフレの傾向は良いインフレなので、金価格にとってポジティブな内容になる。
では、具体的に見ていきましょう。
自動車業界は戦国時代
自動車業界は、トヨタ自動車の創業者一族である前社長が事あるごとに「生きるか死ぬかの戦いになる」と言っているように戦国時代の様相です。
この言葉に現実感がないと感じる方もいるかもしれませんが、これは真実です。
まずは、この意味がどこから来ているのかについて説明しましょう。
自動車業界は現在、「CASE」という改革に来ています。
この意味は以下のとおりです。
C コネクト
A オート
S シェアリング
E 電気自動車
まずコネクトとは、自動車と運転者の接続という意味になります。
これは近年普及している音声通話アプリ、卑近な例でいえばアマゾンのアレクサなど、話しかけることによってAIが作動し、命令どおりに動くという意味になります。
オートとは自動運転を指し、シェアリングのS、Eは電気自動車のEVを指します。
現状、どれも多くの課題を抱えているのが現実です。
しかし、これらの改革がこの10〜20年で一気に来るとトヨタ前社長は読んでおり、全部達成して実用化を遂げなくてはトヨタ自動車の生き残りはない、と言っているのです。
CASEの課題

これらの課題、例えば声で命令をしてAIが実行することはだんだんとできるようになってきました。
しかし本当に命令通りにAIが動くのかはまた別次元、まだまだ精度が足りません。
何度言ってもきちんと動かないことは皆さんもご経験があるでしょう。
EVにしても、中国などは多くのEVを生産していますが、まだまだ主流はガソリンカー。
また日本では、シェアリングはようやく11月になって政府が法改正を検討している段階。
自動運転は時速20〜30キロでは可能になりつつありますが、このスピードでも死亡事故が発生してしまうので、時速50キロ、60キロなどまだまだ夢の話でしょう。
しかし欧米のメーカーは、これらの課題を一気に解消させた会社が次世代自動車の覇権を握ることができるとしています。
ここには従前の自動車メーカーだけではなく、アマゾン、アップル、グーグル、メタなどの巨大IT会社も参入し、自動車業界が全部ひっくり返る可能性を秘めているのです。
自動車業界再編のイメージ

自動車業界の再編に関しては、以下のようなイメージを持つとよいでしょう。
例えば航空業界では、機体の製造はボーイング社やエアバス社で、サービスは日本航空や全日空などの飛行機会社になります。
つまり、製造とサービスが別会社で区分されているのです。
自動車業界の場合、製造はトヨタなどの自動車会社、サービスは個々人になっています。
つまり今後、自動車の製造提供会社とサービスの提供会社が一緒になるのです。
例えばトヨタであれば、車両の製造を担うだけでなく、シェアリングや音声によって車の動作を指示するコネクトも行うことになります。
アマゾンなどのIT巨大大手がこれらに参入する理由が理解できたでしょうか。
全世界の飛行機の数は数えることができますが、車は世界に何台あるのかわからないほどです。
それを制覇すれば巨額な儲けが出ることは理解できるでしょう。
この覇権を巡って全世界の車メーカー、サービス提供会社は争っているのです。
壮大過ぎてついていけないかもしれませんが、現実はそういう方向に動いているのです。
AI技術革新における最大の問題点

自動運転でさえ懐疑的な人が多い中、自動車を音声で動かすのは課題が多いでしょう。
EVにしても、ガソリンカーがまだ優位な時代なので同様です。
EV全盛時代を見越し、しばらくガソリンカーの買い替えを控えている人もいるやもしれませんが、実際にはいまだガソリンカーが全盛。
シェアリングに関しては、ウーバーなどの出前サービスを見ると、それほど問題なく進むかも知れません。
さて、これらに必要なのは大量のAIになります。
最近OPEN AI社からチャットGPTなるものが開発され、今はグーグルの検索アプリも無料で提供されるようになりました。
画期的ですが、実はこの解答にはAIの計算回数が4桁増えており、それに伴い電力消費量が10倍になっているのです。
東日本大震災以降に東京電力の電力供給が不安定になり、供給制限が行われていると思っている方が多数ではないかと思いますが、実際は違います。
あなたのPCやスマホにも生成AIが搭載されているように、電力消費量が特段に増えているのです。
今後のAI発達に伴い、電力消費量がさらに拡大していくことがほぼ確実に起こります。
電気使用量は20年で100倍に!?

AIを形成する半導体の計算量が4桁増えた一方で、電力の消費量は1桁しか省電力化されていないと一般的に言われています。
昔、中国でビットコインが禁止された際、マイニングには電気使用量が過剰に必要な結果だとされました。
同様にAIも、多用すると過剰な電力消費になる可能性があるのです。
その使用量は10年で10倍、20年で100倍になると一般的には言われています。
つまり従前の化石燃料による発電では足りない状況になってきます。
環境問題のこともありますが、なぜ今、太陽光などの再生エネルギーの大切さが説かれるのか、理解できたのではないでしょうか。
つまり欧州がエコのために原発や火力発電をやめるというのは夢物語であり、従前の発電に加えて再生エネルギーもないと足りない状況なのです。
日本でも、40年以上稼働の原発を政府や裁判所が認めていく話もなんとなく理解できるでしょう。
ともかく今のエネルギー高は一過性のものではなく、恒久化する可能性の方がはるかに高いという状態なのです。
主要国の電力消費の傾向
石油の埋蔵量は100年以上あると言われていますが、石油の価格は下がっていません。
一昔前のエネルギー源である石炭価格も上昇してきています。
多くの炭素を排出しますが、それを可能な限り排除した石炭火力も中国を中心に復活してきています。
さらに省エネで、エネルギーの消費が減ってきているのが現在の趨勢です。
まず中国では、年を経るごとに電力製造が増しています。

次にフランスです。

次はイギリスになります。

最後は韓国です。

以上、中国では電力消費は増えていますが、一般的な先進国では電力製造が減っているのが現実です。
今後は今のインフレが標準になる

電力の製造は主に火力発電になります。
ゆえに石油の消費は減ってきている、というのが一般的な認識です。
なお日本やアメリカのデータがないのは、両国ともそれらの統計が存在しないからです。
しかし日本では、1970年代のオイルショックのときよりも需要は半分になった、と一般的に言われています。
上記のように電力需要が減っているのが世界の趨勢ですが、AIの発展に伴いおそらく電力需要は急増していきます。
電気は生活に必要なインフラです。
この値段が上昇すれば、おそらくインフレが継続することになります。
米投資家や金融関係者は、今の米金利がこれから下がることを期待していますが、おそらく今の金利が今後数十年の標準体型になっていくでしょう。
むしろおかしかったのは今までの低金利で、程よい金利上昇と経済成長が伴っていく可能性の方が高いということです。
良いインフレと悪いインフレの違い

インフレには、一般的に良いインフレと悪いインフレがあります。
良いインフレとは、経済成長に伴い物価が上昇していくことを指します。
お給料も上昇、そして会社の売り上げも上昇していくかたちでの物価上昇です。
一方の悪いインフレとは、経済が悪化して物価が上昇することを指します。
言うまでもなくお給料は下がり、物価は上昇するので最悪の経済になります。
現在の日本のインフレは、お給料は上がらないのに物価は上昇していくインフレです。
ゆえに岸田総理の内閣支持率が落ちるという循環に入っています。
岸田総理は春闘での賃上げを各企業に求めているわけですが、果たしてうまくいくのかという問題をはらんでいます。
このインフレは金価格に好影響を及ぼす!

世界的には、特にアメリカがそうですが、経済成長に伴い物価上昇が起こっている状態です。
去年までは物価の上昇にお給料がついていかずに不満も高まりましたが、金融政策によってインフレよりもお給料の上昇が高くなっていく経済に変わってきています。
現在の情勢が大統領選挙まで続けば、バイデン大統領再選の可能性は高く、逆に今の経済政策が失敗すれば、バイデン大統領は敗退するでしょう。
世界的な趨勢は「良い」インフレなのです。
物価上昇が金利上昇につながり、金利上昇がドル安になり、そしてGDP(国内総生産)が拡大します。
そうなると金の価格構成要因【1】ドル、【2】金利、【3】GDPの各項目において、金にとってポジティブな内容になります。
需給は東西の冷戦が激化しているような状況ですから、東側中銀の金の買い付け量は減ることはまずないであろうと読むことができます。
今後の問題は、AIの発展に伴う電力消費の急増、金利の問題はそろそろ終わってくるでしょう。
そしてそこから派生する経済成長によって、金やその他の資源価格が上昇することが問題になってくることになるのではないでしょうか。















