アメリカの駐日大使にラーム・エマニュエル前シカゴ市長が内定しているようです。
この人事は極めて重要ですので、解説していきます。
エマニュエル氏の人となり

エマニュエル氏は、かつてイスラエルに義勇兵として参加したほどの親イスラエル派です。
その後、オバマ政権下で大統領補佐官を務め、任期途中で辞任してシカゴ市長を2期務めて退任しています。
参考までに、歴代の大統領ウォッチャーであるボブ・ウッドワードの著書によれば、オバマ政権時のエマニュエル氏は変人のように描かれています。
バイデン政権では政権幹部に採用されず、今回の駐日大使となりました。
民主党の実力者であり、まだまだ引退するような年齢ではありません。
まだ20年も30年も政治家を続けるつもりの人が駐日大使になったのは、過去の例からも明らかに異なります。
新時代の日米同盟へ

古くからの同盟国であるイギリスの大使には、政府に本気で要求ができるよう、政界きっての政治家が就任しているのに対し、同じ同盟国でも駐日大使には「昔の名前で出ています」的人物が就いてきました。
しかし、今回は現役バリバリの政治家です。
従前の日米同盟と、今後の日米同盟の意味は違ってきます。
アメリカが日本を子供のように見守っていた同盟関係が、大人同士の関係に昇華されたというアメリカ政府のメッセージに他なりません。
アメリカの民主党も共和党と同様に、日本重視の政策に転じたのです。
アメリカが日本に対して文句があれば、正式な外交ルートを通じて抗議をし、そして協議をするという関係性だということを日本国民にも示したことになります。
もちろん、中国脅威論が台頭し始めていることは今回の人事と無関係ではありません。
米中対立と金

おそらく今後、米中対立はもっと激化するでしょう。
軍事衝突の可能性も排除はできません。
中国は現在、過大な借金を重ねて経済成長を維持しているのは明らかです。
共産党がなぜ成長を重視するのかといえば、人民は暮らし向きがよくなっているから党を支持しているからです。
しかし、その成長はウソを重ねて得たもので、すでに借金が許容範囲を超えており、結果として一帯一路政策のような膨張政策を取らざるを得ないのです。
この先、中国の成長は間違いなく鈍化するでしょう。
なぜなら、借金をしようにもできない状況だからです。
ですから、人民元には中国人からの信用がありません。
仮想通貨の流通と保有が中国で禁止されるのは、それだけ人民元に信用がないことの裏返しです。
ビットコインが禁止されれば当然、中国人は金に回帰していくでしょう。
戦争になると金価格が上がる?

戦争にはコストがかかります。
日本やドイツが大戦後にひどいインフレに悩まされたのは、戦費の調達に大きく負担があったからです。
戦争遂行のために借金を重ねたことから、貨幣の価値が劇的に下がり、実物資産である金の価格が上昇しました。
今のドル安になれば金の価格が上がる、そして物価上昇は現金を持っていても値段が下がるから金を買うのと同じです。
戦争だから金が上昇するわけではなく、政府の過大な出費が貨幣の価値を下げ、相対的に金の価格が上昇したにすぎません。
湾岸戦争時の金相場を振り返る

「戦争があれば金が上昇する」説は与太話だと湾岸戦争の時に証明されました。
戦争勃発前まで金価格は上昇し、開戦と同時にストップ安の連続で値段が下がり続けたのです。
湾岸戦争はハイテク戦争ともいわれ、開戦してもアメリカの財政がそれほど傷まないのはわかっていました。
「戦争で金が上昇する」という神話のもとに金は上昇しましたが、いざ始まってもそれほど戦費が拡大しないことがわかったので、開戦と同時に価格が下がり続けたのです。
9.11で金が上昇したのは、当時のブッシュ大統領が悪の枢軸にイラクと北朝鮮を指名し、戦争の懸念で財政が痛む懸念があったからです。
米中対立は戦争に発展するか?

米中の対立で戦闘があったとしても、双方が自制をするのは今の時点では明らかです。
双方ともに核保有国であり、アメリカが先制攻撃を加えない限り、中国は核を発射するとは思えません。
中国の戦闘能力は、アメリカの数百倍劣るからです。
アメリカも、核の抑止力を利用して中国をけん制しようとしているので、使用はまずなく、仮に局地的な戦闘があったとしても、双方とも抑止する方向で調整するでしょう。
なぜならアメリカ自身、その圧倒的な戦力に逆らう国はないと思っていますし、中国も衝突しても勝ち目がないのは心得ています。
そういう冷静な現状分析があれば、中国とアメリカの対立が激化しても、財政を痛める規模の戦争は起こらないでしょう。
ただし、「戦争が起これば、金は買い」と叫ぶ人は必ず出てくるでしょうが。
この記事のまとめ
今回の記事では、ラーム・エマニュエル前シカゴ市長のアメリカの駐日大使内定は、日米同盟の進化を象徴する人事。
これによって日米関係は、子供と大人の関係から、大人と大人の友人同士の関係へと発展!
この背景には台頭する中国への懸念があり、米中対立は戦争へと発展するか否か…。
「戦争で金が上昇する」と闇雲に叫ぶ人は、その原理を心得ていない。
過大な戦費が貨幣の価値を下げ、相対的に金の価格が上昇したにすぎない。
仮に米中が交戦に至ったとしても、財政を圧迫する規模の戦争にはならないだろう。
こういう内容の記事でした。















