日本銀行は7月27日から翌28日にかけて金融政策会合を開き、YCCは維持して、修正として長期金利誘導目標を0.5%から1.0%程度を目途にする、という決定を下しました。
今回は、この決定が金相場にどのような影響を与えるかについてです。
この記事の要約
今回の記事では、7月27、28日の金融政策会合で日銀が長期金利誘導目標を従前の0.5%から1.0%程度にするとした目的は円安対策。
しかし、ファンドからすればこの決定は、日銀が一部間違いを認めたとしか映らない。
結果、投機筋は今後、日本国債を売って金利を引き上げるという行動を激化させるだろう。
このファンドと日銀の戦いの趨勢次第では、日銀の金融緩和が見直される可能性もある。
仮に金融緩和が終わりを告げれば、金の価格は下落を免れ得ない。
では、具体的に見ていきましょう。
長期金利誘導目標の0.5%上方修正の意味
日銀は長期金利誘導目標の修正について、「YCCを強化するため」と説明しています。
この意味をまず説明していきましょう。
以下は、ドル円レートのチャートに赤線でFRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(連邦公開市場委員会)開催の最終日を加えました。

5月から具体的に見ていきましょう。
政策金利目標の推移
5月 6月 7月
アメリカ 5.00 5.00 5.25
日本 短期 -0.5 -0.5 -0.5
長期 0.5 0.5 0.5-1.0(0.75)金利差 5.5 5.5 5.75
アメリカ短期-日本長期
4.5 4.5 4.5
日米の金利差は短期を比較した場合、5〜6月には変化がありませんでした。
その結果、6月のドル円レートは一時は大きく円安になったものの、最終的には5月と同水準になりました。
6月から7月にかけては、短期金利が5.5から5.75に拡大しています。
5〜6月が同水準になったのは、金利差が拡大しないからという理由で考えると、次回9月のFOMCまでに円安になっていることが想定されます。
長期金利の金利差で見れば、6〜7月にかけては4.5-4.5と拡大していないので、5〜6月同様、為替レートが動かないことになります。
ところが今回、日銀がYCCの長期金利誘導目標を変更しなかった場合、金利差は4.75となり、次回9月のドル円レートは円安になる可能性があります。
6月から続く閣僚や次官による過度な円安警戒発言から推測すると、日銀も政府に協力して円安対策を打った、と考える方が妥当でしょう。
今後のドル円相場の方向性

上記で日米の金利差は短期金利差は拡大、短期-長期の金利差は維持になりました。
本来、金利差とは、FRBは7月に0.25の金利を引き上げましたが、この意味は1年物のFFレートを指します。
それと同じ比較になる日本の1年物金利の誘導目標はマイナス0.5なので、FRBが0.25分、金利差が拡大したことになります。
長期は、日本が誘導目標を0.5上方修正したので、短期から長期を引いたものは拡大していません。
従来であれば、短期金利と短期金利を引いたら拡大するので、円安進行の判断になるでしょう。
ただし今回は、同様に長期の金利差は修正によって拡大しないことによって、5月のように円安が進行しない可能性がある、ということです。
おそらくこれは政府、財務省の申し入れに対して、日銀が協力したのでしょう。
5月は135円から139円まで円安が4円進行したことから計算すると、7月から9月にかけては2円程度の円安が進行するのではないかと、大まかな予想が成り立ちます。
恐ろしい過去の事例

まず、イギリスと投機家のソロスがポンドを巡って攻防し、結局、イギリスがソロスに敗北した、という事実。
そして東南アジア通貨危機では、主にタイバーツが高過ぎるということで売りが本格化して、またしても投機筋が勝った、という歴史的事実があります。
この背景は、ポンドもバーツも高過ぎたので、投機家たちが政府と戦っても勝てたのです。
日本では、このまま物価が年3〜4%上昇すれば3%の10乗、つまり30%以上の物価上昇が見込まれます。
対して、長期金利の誘導目標は変更されたといっても1%。
短期金利は3%の上昇に対して、マイナス0.5です。
これは、安過ぎると言えるでしょう。
一方のアメリカは3%の物価上昇に対して金利誘導目標は5.25で、長期は市場金利が4%。
こちらはインフレ退治に有効な措置を取っていると言えるでしょう。
日銀の金融政策の狙いとファンドの攻撃

日本はこれらの金融政策によって何を狙っているのかと言えば、インフレです。
通常、金利安と円安が30年も続ければ、バブルないしはハイパーインフレが起こるものです。
しかし、30年続けても微塵もそんなことは起こりません。
つまり政策が間違っているから、インフレやバブルが起こらないのです。
投機筋が日本の異常に安過ぎる金利は上げるのが適正だと考えているところに、日銀が円安対策として長期の誘導目標を引き上げれば、上記で示したポンドやバーツのように、ファンドの日本攻撃が加速すると考えるのが妥当でしょう。
理由は、ファンドから見れば、日銀が一部間違いを認めたとしか映らないからです。
となると投機筋は今後、日本国債を売って金利を引き上げるという行動を激化させると予測されます。
ただし日銀の政策修正があった7月28日の引けの時点では、ファンドはある程度の国債売りを手仕舞いしているように思われます。
これはおそらく、この修正によってマーケットがどう変化するのかを分析している「だけ」のように見受けられます。
おそらく、今後も日銀は金利目標を短期も長期も修正すると考え、引き続き攻撃を仕掛けてくるでしょう。
日本の金融緩和の終焉は金価格の下落につながる

金の取り引きを行うためには、ドルや円、金利について学ばなければいけません。
金の需給が引き締まっていても、それによる値段の上昇はわずかであり、金の根本的価値とはドルの信用です。
すなわちドルが棄損したときには金価格が上昇し、信用が上がったら下落します。
日本はYCCを修正しましたが、大規模な金融緩和は維持しています。
円の価値は大量供給で下がっていますが、今回ファンドと日銀が戦争を行い、日銀の大量供給が見直される可能性もあります。
つまり、金融緩和の終わりは金の価格の下落につながることを理解してください。















