今回はドル円相場、ひいては円建ての金価格の展望についてです。
この記事の要約
今回の記事では、9月のFRB(連邦準備制度理事会)による利下げがドル円相場に同影響し、ドル建てと円建てそれぞれの価格にどう影響するかを解説。
- 「ドル円は日米の金利差で動く」というコンセンサスと実際のドル円相場は?
- ドル円相場の展望から見ると、円建て金価格は?
- アメリカはドル高(金下落)・ドル安(金上昇)のどちらを選ぶ?
では、始めましょう。
ドル円のコンセンサスと実際の相場
9月18日にFRBが9ヵ月ぶりの利下げを行い、政策金利4.5から4.25としました。
ドル円には、日米の金利差をもとに動いているというコンセンサスが存在します。
ゆえにこれを引き合いに、ドル円は円高に行くだろうということが実しやかに語られています。
そこで、2024年7月1日から2025年9月19日までのドル円の実際のレートをオレンジの線、理論値を青線で表したチャートをご覧ください。

青線の理論値に合わせて、オレンジ線の実際のレートが動いていることがわかります。
ところが関税導入の発表日である4月2日を示すプロットの200近辺から理論値が下がり、実際のレートがついていっておらず、円高になっていません。
これは、まず関税の導入によって一斉にドル買いがなくなり、大幅に円高になりました。
しかし、日本の貿易相手国2位がアメリカなので、ドルが売られると同時に円も売られた結果、実際のレートはそれほど動かなかったということでしょう。
そしてプロットの270近辺は7月の前半です。
つまり4月2日の解放の日から4月9日にかけて金利が急騰し、その関税の導入が3ヵ月延長された前後が270近辺であり、ドルが急速に巻き戻しました。
結果ドルが高くなり、円は安いままなので、理論値は急速に円安になっています。
今回はドルが売られすぎているのでドル高になる見込みであり、円には大きな材料がないので、その分、円安になるのです。
円建て金価格の展望は?

今後のドル円の展開については、理論値が先行して円安になれば、実際のレートもついていくと考えられます。
9月21日現在でドル円は148円程度ですが、ここから160〜170円まで円安に行くのではないのか、ということです。
ドル高でドル建ての金価格は下がりますが、円安によって円建て金は、価格維持か上昇するかの二択になるでしょう。
ドルのゆくえとドル建て金の展望は?

関税措置が導入されたのは4月、そして延長された7月にはドルは上昇しています。
8月には日米の関税合意が成立し、周辺国も合意がなされました。
いまだ中国や韓国、メキシコ、カナダとは合意に至っていませんが、ティックトック、バイトダンスを巡る合意が成立しているようなので、中国とは合意が成立するでしょう。
問題は、日本を含めて各国に巨額の投資合意を行っている点です。
アメリカとしては継続的に投資をしてほしいはずですが、それが大損となった場合、今後のドル投資はなくなります。
その儲けを保証するためには、できるだけドルを安く購入させる必要があります。
それを証明するためには、アメリカ政府はこれ以上ドルを安くできない、さらにドルを高くしてこそ合意以上の投資を見込めることになります。
現在の金の高値はドル安以外に需給要因もありますが、ドル高は金価格の下落要因。
いつまでも金が高いということはないでしょう。
この記事のまとめ
以上、巷間ではドルが利下げしたのでドル円は円高というコンセンサスになっています。
しかし今回の場合、この期待とは裏腹にドル円相場の理論値が円安になっている状態です。
つまり、円建て金にとっては上昇要因になります。
一方で、これ以上ドル安になることが見込めない中、ドル建て金がこれ以上上昇するようなことはないと考えられる。
という内容の記事でした。














