今回は、金価格が9月2日に3500ドルの大台に乗った理由を考えていきます。
この記事の要約
今回の記事では、金価格が9月2日に3500ドルの大台に乗り、新値を更新した理由について考察。
- 金の新値更新の理由は中国の買いか?
- 8月22日のジャクソンホール会議でのFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長の「利下げ検討」発言の影響は?
- 金が新値を更新した本当の理由とは?
では、始めましょう。
金の新値更新の理由は中国の買い?
今回の金の新値は、ドル安や金利の低下に伴うものか、中国の買いによるものかを検証する必要があります。
まずはアメリカの政策金利であるFFレート(緑線、左軸)とドル建て金価格(青線、右軸)の3年間の推移を見てみましょう。

注目してほしいのは、2024年の9月から年末にかけてFRBが利下げを行った後、金価格が上昇した点です。
利下げは金にとっての買い材料なので当然と言えば当然ですが、同時に中国の買いつけを中国の準備金の増減で確認してみましょう。

2024年の第4四半期、つまりFRBの9月の利下げを確認してから、10〜12月になって金を買い始めています。
中国の金買付は確認できる?
直近3年間の中国国内の金価格の動向を、世界標準価格(左軸の0)との乖離で見てみましょう。

中国の金買付がスタートした2024年9〜10月は、中国国内の金販売価格は国際価格よりも低い状態でした。
ところが2025年1月に中国の準備金の上昇を見てから、大きく上昇していることがわかります。
つまり、中国の買いが確認されるまでは買いにはならない傾向があることは厳然たる事実と言えるでしょう。
今回、中国の国内金価格は8月25日に急騰した後、月末には大きく下がっています。
これでは中国が買ったのか買っていないのか、なんとも言いようがありません。
新値達成の本当の理由
下記の9月3日までの直近1ヵ月間の金価格の推移をご覧ください。

ジャクソンホールにおけるFRBのパウエル議長の「利下げも検討する」発言受けて金利が低下し、週明け25日に金が急騰したことがわかります。
これはまだ利下げをしていないのに、金の価格が上昇してしまっているということです。
つまり金は、利下げ推測によって買いになっているのです。
この記事のまとめ
以上、2024年の年末に行われた前回の中国の金買いは、翌2025年1月に顕在化し、そこから金価格が急騰しました。
これは事実を確認してからの金上昇であるのに対し、今回は8月22日のパウエル議長の「利下げ検討」発言をもとにフライングで買っていることが判明しています。
要するに、単なる推測である点が脆弱なところです。
実際に中国国内の金買いは8月25日から継続して高くなりましたが、月末にはすでに売られています。
つまりこの金の新値は、「噂で買って、事実で売る」というマーケットの格言を示す典型的な展開になるでしょう。
という内容の記事でした。














