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2020年3月9日は、アメリカの株価が1日で最も急落した日として歴史に名を刻むことになるでしょう。
しかし、世間一般ではこの急落は『新型コロナウイルスの蔓延』=コロナショックが理由と思っている人が多数ではないでしょうか。
勿論その影響もあるとは思います。
しかし
『実は真相は違うのではないか?』
という、(リファスタがまた始まった…)と世間で言われそうな話をお伝えします。
実は当コラムでは株価下値を予測してた

実は2020年2月15日くらいには、株価の下値目途をNYダウで24,400ドル・日経平均で18,800円くらいと予測していました。
2月15日でNYダウで29,500ドル・日経平均は23,500円くらいですので奇異の目で見られていたことは確かです。
しかし、3月9日の安値はNYダウ先物で安値が23,400ドル、日経平均先物で18,270円です。
わずかに数字は違いますが、ほぼ予測した数字に収まっています。
もちろん、今後まだ下がる可能性はありますが、おそらく2番底程度であり、これ以上深い下げる可能性は低いと考えます。
サーキットブレーカーの作動

この安値が多少ブレた原因は、NY市場でサーキットブレーカーが作動したことだと考えられます。
サーキットブレーカーとは、マーケットの1日の動きが大きかった場合、取引所が値動きを15分止めて投資家に冷静を促す制度です。
日本でも東証や商品相場には採用されていますが、ここのところそれが稼働した記憶はありません。
このサーキットブレーカーが作動したのは『ある事象』が原因だと考えられます。
アメリカの金利の動き
下記はアメリカ国債1年物利回りです。

下記はFRBのFFレート誘導目標金利になります。

去年の利下げの動きは、アメリカ国債1年物と誘導目標金利の乖離が大きかったために実行されたものになり、その乖離は今年1月には解消されていました。
ところが、3月に入って再び1年物国債とFFレート誘導目標が大きく乖離したので、誘導目標を3月3日に緊急で利下げを行ったのです。
その誘導目標を3月3日に0.5下げて1.25にしたのにもかかわらず、アメリカ国債1年物利回りはそのスピード以上に下がっていきます。
現在の誘導目標が1.25に対して1年物国債の利回りは0.35、即ち0.9の乖離とは、去年の乖離よりもひどい状況です。
金の価格は現在は金利によって変化することが大きいので、3月1日には1590ドルであった金が、一時1700ドルまで急騰しています。
つまり、これだけ金利が急落するのであれば、その理由は必ず存在するということです。
FRBへの疑問
金利が上下動する条件は、
【1】物価の上下動
【2】政府債務の状況
です。
【1】の物価の上下動もなく、【2】の政府債務も議会によって上限が定められており、急速に政府債務が減ったという事実もありません。
となると、この金利の下げは緊急利下げ後にFRBがアメリカ国債1年物を低く誘導していると想像できます。
もちろん、コロナウイルスにより企業は休業補償やつなぎ資金が枯渇する可能性が高いため、その融資を円滑に進めるために3月3日に利下げを行ったのもあるでしょう。
しかしながら誘導目標1.25に対して、0.35は幾ら何でもやり過ぎです。
※因みにリファスタでは『やり過ぎ』を代表の杉に因んで『やり杉』と書いたり、『杉山』と読んだりします。…全く関係ありません…
では、何のためにFRBはここまで乖離を酷くさせたのか?
フラッシュクラッシュを覚えていますか?

リーマンショック後にフラッシュ(高速)クラッシュ(崩壊)というものがありました。
これは、アメリカの有力化粧品会社であるジョンソンアンドジョンソンの株価が、一瞬で50ドルから1ドルまで下がり、そしてまた一瞬で50ドルまで上がった事です。
これは当時大変な問題になりFRBが議会に分厚い調査報告書を提出したのですが、何が原因かはわからないという内容でした。
しかし、近年アメリカ人の元トレーダーであるナシーム・タレブという人物が、リーマンショック前に経営不振に陥ったフランスの国営銀行であるソシエテ銀行にリスク専門家として招かれ、その際にフラッシュショックの事実を告白します。
その内容は『不良債権を処理するために大量の株や債券、通貨を売却し、ジョンソンアンドジョンソン株や南アランドなどを急落させた』ということを著書で明らかにしたのです。
なぜ、今頃になってそのような告白をしたかといえば、ソシエテ銀行と結んでいた10年間の秘密保持契約の期限が切れたからということです。
当時は日本でも…

当時は日本でも南アランドが夜中に突然急落し、多くのFXトレーダーの被害者を出し、結果として金融庁も調査に入ったのですが、詳細はわからないという結論でした。
今から考えると、このソシエテ銀行の債券処理だったことが明らかになっているのですが、当時はなぜそんなことが起こったのか誰もわからず、憶測が憶測を呼び、一部では『AIの自動売買プログラムのバグが原因』と断じていたくらいです。
これだけ世界経済規模が大きくなり、銀行の規模も大きくなった結果、有力銀行が損失処理をするだけでもこういったマーケットの崩壊が起こります。
3月9日の大急落の原因を推測すると…
上記を踏まえると、今回の3月9日の大急落とは銀行や事業法人による損失処理の結果起こったのではないか?という推測も成り立つわけです。
では、このような損失処理を行った銀行はどこかとニュースを探していくと、実際にありました。
https://jp.reuters.com/article/wellsfargo-scandal-congress-idJPKBN20S0DP
引用元:ロイター
ウェルズファーゴとは、リーマンショック以前はそれほどでもありませんでしたが、リーマン後に多くの商業銀行が倒産したり合併併合したりしている関係上、近年アメリカでは大きな規模の銀行になります。
そのウェルズファーゴが近年多くの不正を行い、それをSECによって取り締まられていたのです。
日本のゆうちょ銀行も最近不正行為を金融庁に摘発されたのですが、ウェルズファーゴと比べるとかわいいものと言っても過言ではありません。
株価暴落の真相

ウェルズファーゴは、架空口座という前近代的な犯罪によって規制当局から摘発されました。
しかも、この不正は2016年ころから行われており、当局の指導の通り行っていなかった事実が露呈しています。
架空口座の放置とは、マネーロンダリング全盛の時代ではありえない不正で、日本でもアメリカでも規制当局によって廃業に追い込まれるくらいです。
つまり、廃業のリスクを取ってまでしても架空口座を閉鎖しなかったことの意味は、閉鎖すれば、恐らく倒産していたのであろうと考えられます。
だから経営陣は十分にリスクを承知の上で、その口座を秘匿したのでしょう。
それが露見したのが3月4日であり、このときにFRBが緊急利下げを行っています。
全米屈指の規模を誇る銀行の破たんとなると、コロナ蔓延の中さらに酷い状況になったことから、隠密裏に行動するほかなかったのです。
ゆえにFRBは、ウェルズファーゴの救済資金を出すために、過剰な金融緩和を行ったと推測されます。
恐らくウェルズファーゴの経営安定化のために保有しているリスク資産(株や通貨など)を投げ売りしたのが今回の暴落の真相でしょう。
今回のオペレーション

世界のマーケットは金市場を含め、株式市場も通貨市場、債券市場もファンドが今のメインプレイヤーとなっています。
このファンドの特色とは、株を買えば債券を売り、反対に株を売れば債券を買うのです。
2月の頭からファンドは日本でもアメリカでも株を売り、債券を買っていました。
ゆえに金は、金利が下がっていくので急騰したのです。
ところが、その動きが3月9日を境に変わっています。
株は相も変わらず下がったままでしたが、債券は、ファンドが買っているので上伸するはずなのに、反転して下がり始めていたのです。
この意味は、ファンドは売りを利食いしているが、投げものが優先し価格は下がっていたことになります。
ファンドは株の売りを手仕舞いしているのですから、債券は買っていたのを手仕舞いして、ド転に回った可能性を推測します。
そして、翌10日には株は足取り軽く上昇し始め、反対に債券価格は低下を始めました。
金利はもちろん上昇し始めています。
3月9日後の展開予測

ドルの値段に関しては、日本とヨーロッパはいずれもコロナショックの被害が大きく、通貨は安くなります。(←円高ドル安)
通貨レートとは相対的なものであり、ユーロや円が下がればドルは上昇します。(←円安ドル高)
そして、今までの金利の低下とは、ファンドが株を売り、債券を買っていたために起こったものです。
これをアンワイド(解消)し、株買い・債券売りのポジションに変更になっている可能性が高いのです。
ゆえに、金の価格を今まで押し上げていた低金利も解消することになり、金の変動要因【1】ドル、【2】金利が3月9日を境に逆方向に行く可能性があるのです。
今まではドル安、金利安で金は新値更新しましたが、今後はドル高金利高になるとすれば、金価格はどうなりますか?
下落します。
※この記事は3月10日に執筆、実際にリリース前日の2020年3月13日に大暴落。参考に約2ヶ月前と比べ、金は3.4%下落・プラチナに関しては26.4%も下落!
但し言うまでもなく、コロナショックの被害は今後確定していくことであり、結果として再び金利安になることは避けられないとも思っています。
『金を売る』ではない方は、その下がりきったところで『金を押し買う』ことを推奨します。