リーマンショックでは一早く経済を立て直した中国。先般のコロナショック、不動産バブルの崩壊では経済回復が遅れていると見られていますが…。
この記事の要約
今回は中国経済の現状と金価格への影響を解説します。
- 中国経済の復活を示す証拠とは?
- 対中投資の現状と展望とは?
- 中国の金買付は復活するか?
では、順を追って見ていきましょう。
株価が示す中国経済の復興
中国の経済復興が遅れているという認識がありますが、それは間違いです。
過去5年間の中国の株価をご覧ください。

現在、中国の株価は過去5年間で最高水準にあります。
日本の不動産バブルの場合、崩壊して以降は株価が低迷し、その呪縛から解き放たれたのはつい最近のことでした。
ところが、中国の場合は2022年くらいに崩壊してからたった3年で呪縛から逃れたといえます。
人民元の動きと日本円
次に過去5年間の人民元の動きを見てみましょう。

上述の不動産バブル崩壊によって、現在まで人民元は大幅に売られ続いている状況です。
次にドル日本とドル人民元の上下動を重ね合わせたチャートを見てみましょう。

2022年以降、日本円と人民元は同じような動きになっています。
これは、日中とも自国に投資するのではなく海外、主にアメリカに投資をしていた結果であり、今や両国は対米投資国になっています。
ドル人民元相場と中国株の関係性
ここでドルインデックスの動きを見てみましょう。

ドルは2024年まで上昇していましたが、2025年はダダ下がりです。
この意味を推測するためには、中国の株価(オレンジ線)と人民元(緑線)と重ね合わせたチャートを見る必要があります。

2022年にドルが大きく上昇したのは利上げの影響と説明されています。
一方で、この年から人民元も急速に売られ、これに伴い中国の株価も下がっていることがわかるでしょう。
これは国内に投資先がない中国人投資家が主に日本やアメリカ、欧州圏に投資をしたからだと考えられます。
そして、2024年に株価が底を打つと人民元は売られましたが、2025年から人民元高が続き、ドルは逆回転でドル安になっているということです。
中国の株価はドル安が起こるたびに新値を更新している状況です。
対中投資の現状と展望
2022年の中国の不動産バブル崩壊では、中国国内の莫大な資産が海外市場に移行しました。
しかし2024年に株価が底を打った後は、中国市場に資金が回帰しています。
その根拠は、対人民元の年間の騰落を通貨順に並べたクロスレートに表れています。
CNY-ARS 191.6120 42.07% Sep/08
EUR-CNY 8.3499 6.26% Sep/08
CNY-INR 12.3772 4.49% Sep/05
CNY-JPY 20.8140 3.52% Sep/08
GBP-CNY 9.6202 3.36% Sep/08
CNY-KRW 194.9680 3.26% Sep/08
CNY-CAD 0.1942 1.45% Sep/08
USD-CNY 7.12663 0.09%
通常であれあば、このようなランキングには新興国が上位にランキングします。
しかし、デフォルトの影響があるトップのアルゼンチン以外、先進国やインドなどの躍進国です。
つまりユーロ圏、日本、イギリス、韓国、カナダ、アメリカ、そしてインドといった国と活発に取引が行われていることを示しています。
中国が金利は安くなったとはいえ、魅力的な投資国になったと言えるでしょう。
つまり今後の対中国投資は、西側の制裁との狭間の中で活発化していくものと考えられます。
その結果、起こるのは人民元高です。
中国の金買付は活発化する?
最後に金価格との関係について考えましょう。
過去5年間の金価格とドル人民元レートの関係をご覧ください。

金の急騰が始まったのは、ちょうど人民元が通貨安に見舞われた2022年中葉でした。
人民元安とは人民元の価値が下がることなので、その信用性を補完する意味合いで金を購入していたのです。
逆に今の中国は、他国から投資を受け入れている状況であり、つまりは人民元高になりやすい状況です。
金を積極的に購入する理由が欠落していると言えます。
仮に金を購入する理由があるとすれば、東側通貨圏の維持のためくらいになるでしょう。
この記事のまとめ
以上、中国経済はデフレから脱却できないなどと言われていますが、そんなことはありません。
2020年のコロナショックからは2021年に回復し、2022年以降の不動産バブルの崩壊による株価急落は2024年後半から反転上昇しました。
そこから中国市場に資金が回帰したことが対人民元クロスレートで示されています。
結果、人民元の価値上昇が見込まれるため、人民元防衛のために金を購入する理由はなくなるものと予測されます。
つまりは金価格の上げ要因にはなり得ないということです。
という内容の記事でした。














