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テクニカル分析は、非常に便利なものです。なぜなら金を取り巻く環境、つまりファンダメンタルズを考慮する必要がないからです。
しかし反面、致命的な欠陥が存在します。
それは100%当たることはありえない、ということです。しかし、テクニカルに全面依存をしている方がマーケット参加者に数多くいることも事実です。
この記事の要約
今回の記事では金価格の天井、底についてのテクニカル分析を行いながら、テクニカル分析を有効活用するために知っておきたい5つの事象について解説。
その5つとは、
1. テクニカル分析の基本は移動平均線
2. 極めれば100%的中するという思い込みは捨てるべし
3. 基本は統計数字の前年比較
4. 絶対値より相対値が重要
5. 年間比で37%以上の売買があると相場は反転する
以上を、理由や実例を交えて見ていきましょう。
テクニカル分析のワナと心構え

テクニカル分析の基本は移動平均線になります。
なぜなら、皆さんが主に使用しているテクニカル分析ツールは、全て移動平均線を見やすくしたものに過ぎないからです。
例えばRSI14日であれば、14日の平均線からの乖離を示した指標であり、その乖離が20〜30%以上離れるとマーケットは反転する、ということを知っているでしょう。
しかし、RSIが80になっても20になってもマーケットが一向に反転しない現実を皆さんは学習し、使いものにならないと判断してボリンジャーバンドや一目均衡表などに流れる、という道筋を一度は通ったのではないでしょうか。
それでもうまくいかない人はうまくいかず、迷路にハマっていくという循環です。
なぜうまくいかないのかと言えば、テクニカル分析を極めれば的中率100%になるという潜在的な思い込みが作用しているのではないか、ということです。
実際そんなものはあり得るはずがない、というのがデータ分析の結果です。
つまり、テクニカル分析は直感や本能よりは優秀ですが、決して100%の結果を求めてはいけないという点を理解すれば、損切の大切さを学ぶということになるのです。
そこまで理解すれば、ある程度テクニカル分析の活用ができるのですが、大部分の方はそこまで至らずにマーケットから撤退することになっているのが現状です。
今回は、この移動平均線を無視したテクニカルの解説をします。
マーケットの生命線は前年との比較

ファンダメンタルズの基本とは、統計数字の前年比較です。
例えば、日本のGDP(国内総生産)が前年比で5%伸びたということは、2022年のGDPが100とすれば、2023年は105になったという意味になります。
同じ5%でも前年50で今年52.5というのでは、値幅は前者が5、後者は2.5なので実感はまるで違うことになります。
このパーセンテージの表記とは、主に比較をするのに理解しやすいという特徴があり、その前年の数字が100か50かというのは、実経済では如実な違いを示すことになります。
マーケット予測で頭がよいと判断される人の基準とは、絶対値と相対値の区別ができていることを指します。
すなわち、パーセンテージ表記と100などの絶対値で表記するのはまるで意味が違うと理解していると、見えてくる世界が違うことになります。
その他、長期と短期、主観と事実の区別をつけることも重要です。
絶対値より相対値、短期より前年比較!

マーケットは、前年と比較した数字で動いています。
それは絶対値ではなく、ほとんどが相対値です。
これは、相対値でマーケットを推測するとほとんどその通りになる一方で、絶対値で推測するとあまり結果が芳しくない、という事実で証明されます。
つまりほとんどの人は相対値で判断している、そして相対値と絶対値の違いがわかっていない、ということなのです。
この辺は機会があればまた説明をしますが、ともかくマーケットは前年比で動いています。
ところがテクニカル分析では、上述の14日の平均線など比較的短期間の比較をしているのが実態です。
ですから、正答率が3割程度になってしまうのです。
これを前年比較ですれば、ある程度の正答率の上昇が見込めるでしょう。
年間比で37%以上の売買があると相場は反転する!
以下、昨今の金融不安で売られた全米銀行指数になります。

右軸を見ればわかりますが、この数値は絶対値ではなく相対値です。
現在は、前年と比較して30%以上売られている状態になります。
実はこのグラフを見ると、5月5日にファーストリパブリック銀行が破綻した後にパックウエストなどの地銀が倒産するという最中、金をはじめ株や為替などが全部買いだとわかるのです。
その結果は、急速に回復している値段を見ればわかるでしょう。
実は昨年のドル円の151円も、これで円高だということがわかりました。
なぜかと言えば、実は年間比で37%以上売られたり買われたりすると、マーケットは反転するという法則のようなものがあるからです。
実はこの時、原油価格も37%売られており、これも買いだわかりました。
ただし、この「前年比騰落37%」の意味は、はっきり言えばわかりませんが、ともかく反対方向に仕込んでおけばよいのです。
これが反故にされたのがリーマンショックです。
すなわち株価や為替、商品市場が37%以上売られたので、「100年に一度の暴落」と言われました。
つまり、年間で37%も売られることはそれほど稀なことなのです。
例えば、昨年のビットコインはその前年と比較して4〜5倍まで買われました。
これは1年間で37%以上買ってしまい、それを突き抜けたのでリーマンの逆バージョンになったのです。
前年比37%で反転の法則を活用すると…
下記は金のドル建て1年間分です。

現在の金価格は、前年と比較して10%程度上昇していることがわかります。
前年は1850ドル程度でそこに1.1をかけると2035ドルで、ほぼ今の値位置と重なります。
ここから上昇しても37%というのはある程度データが証明しているので、金の目標値は1850×1.37=2534.5ドルくらいになります。
ところが、時間経過とともに値段が安くなります。
去年10月に記録した1615ドルも、時間経過とともに37%基準を満たす可能性があります。
「1615×1.37=2212.55ドル」で、金の目標値が2200ドルから2600ドルくらいだと算出できます。
反対に現在は高値なので、その高値から1.37をかければ行ってもこのくらいという水準が見えてくるわけです。
これは、年間で37%以上に上昇することは滅多にない、ということがわかっているので、こういうことが言える形になります。
もちろん、それを抜けたら値段を見ないで買わないといけない、ということになります。
ただし、金価格はビットコインのように4〜5倍になるようなことはありません。
金価格の上下が37%以上にはなり難い理由

その理由は、ビットコインは、電子的に作られたマーケットで供給はルールで決まっています。
あの当時の暗号資産の参加者はそのことを理解していたと思えず、ただ単に買っていただけなので、値段に無頓着だったのです。
電子的に作られるということは、生産者がいないということです。
一方で金には生産者がいます。
採掘と精錬コストに利益を乗せ、妥当と考えているから現状の値段がついているのです。
これがそれ以上の価格になれば、生産者は気合を入れて採掘するのは想像に難くないでしょう。
そうなれば供給が増え、値段が抑えられます。
それ以上の価格になってしまう場合には、それなりの材料が必要です。
例えばアメリカが破産するとか、非現実的な材料があればあるでしょうが、現時点では考えられないので、37%以上にはならないと言えます。
こうした点を踏まえれば、2200ドルくらいまでは手堅いと考えられるでしょう。
金相場の前年比を半年間と1年間の推移で比べると…
下記のグラフは、金の半年間の推移です。

1年では10%、半年では14%の上昇しています。
これを日数で言えば1年は250営業日、半年だと125日です。
この半年と1年が同じような上昇幅だということです。
この意味は、値段というのは買い方と売り方の思惑が一致したことを意味します。
すなわち現在売って、半年たった投資家と1年間経過した投資家、どちらも10〜15%程度損をしたという事実が推測できます。
反対に買い方は10〜15%儲けているということです。
金は今、大きく儲かるチャンスの相場
わかりにくいのでドル円を例に見てみましょう。
引用元:TradingView
時間経過とともに数字は動くので、現在の数字を記しておくと、ドル円は半年で7.91%の円安、1年で3.45%の円高になっています。
この状態でマーケットはお金の奪い合いです。
円安が勝てると思った人は、1年間張っている3.45%儲けている人からお金を奪えばいいので円安に張ればいいのですが、半年前の人は円安で儲けています。
この場合、1年前から儲けている人からお金は奪えますが、半年前から円安に張っている人とは儲けを分け合うかたちになります。
つまり利益が減る、大して儲からないということになるのです。
ところが金の場合は半年前も1年前も売り方は10〜15%損しているので、この人たちをもっと損させれば、もっと儲かることになります。
利益を分け合う人もおらず、つまり今買えば一人勝ちになるのです。
この場合、金は買えば儲かる相場、ドル円は大して儲からない相場になります。
現在、金の他に日経平均、白金(プラチナ)、パラジウム、原油などの商品相場に半年前と1年前の利益が一致している商品群があります。
要は、このままマーケットが上昇すれば大きく儲かるチャンスです。

















