今回は金の価格構成要因である【1】ドル、【2】金利、【3】GDPのうち【2】の金利に焦点を当てて、今後の金価格について解説します。
金利の変動要因
2月26日、日経平均株価は1200円安という今年最大の下げ幅を更新しました。
この下げは【2月の末にかけて金利が急騰したことによって下がった】というのが一般的なコンセンサスです。
では、この金利は何で決まっているのかを考えていくと、
【1】物価
【2】財政赤字
【3】政策金利
によって変動するのは以前に解説した通りです。
https://kinkaimasu.jp/lounge/2020/12/01/an_important_factor_that_drives_the_current_gold_price_interest_rate/
中銀の金利コントロールと歴史の教訓

あまりにも専門的すぎるので詳細は割愛しますが、一般的な金利・債券の専門家の説明は、一様に中央銀行が金利をコントロールすることを前提条件に意見を交わしています。
しかしコレ、そもそもおかしいんです。
歴史の教訓によれば、
金利や物価は一度理性を失って上昇をすると誰にも止めようがない
というのが一般的な理解です。
この論説はアメリカの経済学者、ミントン・フリードマンが提唱した考えであり、これが証明されたことによって経済学では基本的な考えになります。
実際に日本のバブル崩壊以降にデフレに陥ったのは、日本の中央銀行である日本銀行が金利を上げられなかったからです。
この単純な事実を見れば、中銀に物価や金利、債券価格をコントロールする能力がないことは歴然としていると言えるでしょう。
ゆえに事実を無視した議論の結果など「見当違い」の回答しか出てこないのは目に見えています。
現状のアメリカの金利を分析
では、現状の分析に移っていきましょう。
下記はアメリカ10年物国債利回り、前年比になります。
グラフの右端、最新に当たるのが2021年3月2日、グラフの左端は1年前に当たる2020年3月3日です。

絶対値でゼロ金利と聞いているので、金利は安いのだろうと勘違いしている人も多いでしょうが、現状と去年を比較すると30%も高いことになります。
つまり、去年の同じ時期に借入を申し込むよりも金利が30%も高い状態なのです。
ドルと金利から適正な金の価格を算出すると…

具体的に金利とは、ドルの価値に1.3倍(30%高の意味)を乗じたものになります。
例えばドルが100とすれば、現在の金利は100×1.3になり130となります。
さらにドルの価値は去年より現状20%ほど下がっています。
去年の3月3日のドルと金利の価値が100とすると現状のドルの価値は、
80(ドル、20%マイナスの意味)×1.3(金利、30%高の意味)=104
となります。
去年の3月3日の金の価格は1650ドルです。
1650ドル×1.04=1716ドル
になり、3月2日9時ころのドル建て金価格は1725ドルですから、ほぼ同じ価格と言えるでしょう。
きちんとドルと金利の計算をしていれば金の値段は非常に整合性のあるマーケットになるのです。
参考までに、朝7時時点でドルは去年より18.9%安く、金利は31%高い状態でした。
これをきちんと計算すると、ほぼ正確に現在の適正な金価格を計算することができます。
今後の金利および金価格の展開

上記に挙げたアメリカ10年物国債利回り前年比チャートの去年の状態をよくご覧ください。
左端の金利は3月3日以降から急落しています。
3月2日は30%去年より高い状態ですが、翌3月3日は金利は去年急落していたのですから、3月2日の金利が動かないとなると、翌3日は去年から35%とか40%高くなっても不思議ではありません。
この場合、金利の計算はドルが80として、金利は3月2日に1.3だったものが1.35や1.4になります。
つまり、3月2日から数日は金は安いことになります。
一方のドルは、今の経済対策が期限切れになる3月14日までに1.9兆ドルの経済対策が上院で成立するでしょう。
となると、ドルは過去の事例から急騰します。
すなわち価格構成要因の【1】ドルも【2】の金利も急騰です。
この記事のまとめ
今回の記事では、中銀は金利のコントロールなどできやしない。
にもかかわらず、専門家は一様に中銀が金利をコントロールすることを前提条件に意見を交わしているという矛盾。
今後ドルも金利も上昇するということは、金にとっては最弱な値段になる。
具体的には、去年は3月10日にFRB(連邦準備制度理事会)が緊急利下げを行い、去年の3月19日まで金利は急落した。
すなわち、3月18日〜19日まで金は急落する可能性が高い。
ここまで読めば、あなたは今何をすべきかおわかりのはず!
こういう内容の記事でした。