色鮮やかな宝石が印象的なヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)。同じコレクションでも素材の組み合わせによって表情が変わるのも魅力のひとつ。ヴァンクリーフ&アーペルを色鮮やかに彩る素材の魅力や特徴をご紹介。
世界的に有名なジュエリーブランドの中でもヴァンクリーフ&アーペルは「マザーオブパール」や「マラカイト」「タイガーズアイ」など宝石としては手頃な素材(半貴石)を採用しています。
ヴァンクリーフ&アーペルらしいエレガントなデザインはそのままに、数万円から10万円代と、若い女性でも手が届きやすい価格帯で購入できるアイテムがあるのも、若い女性から支持される理由のひとつ。
未来の優良顧客を増やすために、幅広い価格帯のアイテムを展開しているこの戦略は、着実にヴァンクリーフ&アーペルではファンを増やすことに成功しています。
五大ジュエラーの中でも、ヴァンクリーフ&アーペルのダイヤモンドに対するこだわりは並々ならぬものがあります。
「ダイヤの格という意味では、ヴァンクリーフ&アーペルが頭一つ抜きん出ている」と言われているゆえんです。
ダイヤモンドの品質と価値を決める基準には、宝飾界をリードするアメリカ宝石学協会(GIA)によって規定された、カラー(Colour)、クラリティー(Clarity)、カット(Cut)、カラット(Carat)があります。
ヴァンクリーフ&アーペルがジュエリーに採用するダイヤモンドは、GIA基準に照らし合わせた最高品質のものだけが選び抜かれています。
創業当時から一貫してダイヤモンドはカラー(色)は無色に近いトップグレードのDとE、クラリティ(透明度)は不純物の極めて少ないFL~VVS2ランクという非常に厳しい基準をクリアしたものしか使用しません。
若いカップルには非常に高額となるヴァンクリーフ&アーペルのブライダルジュエリーが、結婚指輪や婚約指輪として絶大な人気を誇る理由が窺い知れます。
1906年に創業した世界的に有名なジュエリーブランド「ヴァンクリーフ&アーペル」は、資産価値はそれほど高くない素材を積極的に採用しています。
見るも鮮やかな、ヴァンクリーフ&アーペルの天然石たちは、さまざまな色やバリエーションを展開。同じコレクションでも素材の組み合わせによって表情が変わるのも魅力のひとつとなっています。
そして若い女性にも手が届く金額で買えて、しかもヴァンクリーフ&アーペルらしさを失わない繊細でエレガントなジュエリーは、この大ジュエラーのファンを増やすことに成功しています。
1950年代にヴァンクリーフ&アーペルは、自分たちの顧客モデルについて大きく考え方を変えました。
将来の優良顧客候補となりうる若い女性へのアプローチこそ最も重要なマーケティングになると判断したのです。
1954年にパリで立ち上げた「La Boutique」では、セミプレシャスストーンとダイヤモンドでアクセントを加えた、より手頃な価格の宝石をメインにしたカジュアルなジュエリー生産し始めました。
それが他の大ジュエラーにはあまり見られない、「マザーオブパール」や「マラカイト」「タイガーズアイ」などの半貴石を、アイコンコレクション「アルハンブラ」をはじめ多くのジュエリーに採用している理由です。
今日アルハンブラシリーズからヴァンクリーフ&アーペルのジュエリーデビューを果たした女性たちは、将来ヴァンクリーフ&アーペルのジュエリーコレクションを購入してくれる未来の大切な顧客なのです。
様々な珍しい宝石たちが登場するヴァンクリーフアーペルのアイコンジュエリー「アルハンブラ」シリーズの中でも王道の素材が「マザーオブパール」です。
その名の通り、真珠をはぐくむ真珠母貝を総称した呼び名であり、白蝶貝やアコヤ貝が有名です。
またブラックパールの母貝となる黒蝶貝や、半円型のマベパールの母貝となるマベ貝があります。
ヴァンクリーフ&アーペルでは美しさを極めたインドネシア産または日本産のマザーオブパールを使用しています。
時計の場合は、ひとつの文字盤に対して、贅沢にまるごと1枚の貝殻が用いられています。
マザーオブパールは「安全と健康をもたらす」と意味があり、おめでたくも結婚42周年を記念する宝石となっています。
上品な輝きを放つマザーオブパールは、アルハンブラシリーズの中でも王道の人気を誇る素材です。
紀元前2~3000年ごろに栄えたメソポタミア文明から珍重されてきたカーネリアンは、鮮やかで深みのある赤色が特徴です。
その美しい色合いから古代の貴族たちからも大切にされに、メソポタミア文明の中心となった、シュメール人の女王プアビの墓からも女王のベールやローブの飾りとして多数のカーネリアンが出土されています。
現在カーネリアンは主にウルグアイやインドで産出されますが、ヴァンクリーフ&アーペルでは最高品質を誇るブラジル産のカーネリアン原石をジュエリーの素材に採用しています。
また、カットが難しいうえに完璧な色彩を引き出すための研磨を施すのが難しいカーネリアンは、高い加工技術が必要となります。
そこでヴァンクリーフ&アーペルでは、カットが済んだカーネリアンについては、ヨーロッパ有数の宝石加工の街、ドイツのイーダーオーバーシュタインから入手しています。
色味は茶色に傾きすぎず、赤色が深すぎないカラーが使用されています。
また、カーネリアンを身に着けると不運に立ち向かう力が授かるといわれており、結婚17周年を記念する宝石としても有名です。
旅行者の守護石として知られる「マラカイト」は、鮮やかな緑色に独特の縞模様が美しいエキゾチックな魅力にあふれた石です。
日本では、この縞模様が孔雀の羽根を思わせるとして「孔雀石」とも呼ばれています。
持ち主に危険が迫ると自ら割れてそれを知らせる、または悪夢から持ち主を守るという言い伝えがありお守りとしてよく用いられてきました。
マラカイトは、アメリカ・オーストラリア・コンゴ・ザンビア・ナミビア・メキシコ・ルーマニア・ロシア・中国など広い範囲で産出されています。
ヴァン クリーフ&アーペルでは、最高品質の原石が産出されるオーストラリアまたはコンゴ民主共和国産のマラカイトのみを厳選しています。
選び抜かれたマラカイトは色が濃すぎず、緑色の明暗の帯が等間隔なもののみで、最高に美しい色合いを実現。
結婚13周年を記念する宝石としてもよく知られています。
注意したいことはマラカイトは硬度が低く柔らかい石であることです。
なるべくマラカイトのジュエリーは単独で保管することをおすすめします。
またデリケートなマラカイトは水で洗浄すると、表面の光沢が失われ、輝きが鈍る可能性があり注意が必要です。
名前の通り、虎の目のようなイエローとブラウンの縞模様が特徴的な「タイガーズアイ」は、日本では猫目石とも呼ばれています。
現在ファッショントレンドにおいて、温かみのあるブラウンの色調を持つ宝石が非常に注目されています。
世界で最も影響力のあるデザイナーたちが、自らのコレクションを引き立てるジュエリーに、様々なブラウンカラーの宝石を採用し、タイガーズアイの人気が一段と高まっています。
タイガーズアイの最大の特徴であり魅力となっている「シャトヤンシー(猫目効果)」と呼ばれる変彩効果は、タイガーズアイの内包物と平行になるようにカボションカットすることで生まれる美しい光の筋です。
ヴァンクリーフ&アーペルでは、オーストラリア産や南アフリカ産の、明暗のコントラストが優れており、シャトヤンシーによる光の筋が均等で、黒い点や波打つ模様を含まないものだけが使用されています。
落ち着いた色合いのタイガーズアイは現代の女性に好まれる「さりげない華やかさ」が備わったシックな魅力に満ちています。
現在のトルコの都市イスタンブールにあたる小アジアの都市「カルケドン」にその名を由来する「カルセドニー」は、石英の非常に細かい結晶が網目状に集まった宝石質の石英です。
創造力を喚起し、心の荒みや憂鬱を防ぐと言われてきたカルセドニーは、ジュエリー以外にも、室内装飾として彫刻の素材としても好まれてきました。
カルセドニーには、ホワイト、ピンク、シーブルー、グレー、ラベンダーなど様々な色彩があり、現在も次々に新種のカルセドニーが発見されています。
最近では2014年に初めてアフリカで発見され、2016年にGIA(米国宝石学会)にて公式に認められたアクアプレーズ(クロムカルセドニー)があります。
ヴァンクリーフ&アーペルでは、グレーがかった色合いのカルセドニーを避け、ナミビア産の鮮やかな色彩を持つカルセドニーのみを厳選して使用しています。
古代ギリシャおよびローマで珍重されてきた、深い漆黒の色合いが魅力のオニキスは、現在も様々な宝飾品に使用されています。
オニキスには、キューピッドが眠っているビーナスの爪を切り、地面に散らばった爪のかけらを神々が石に変えたという大変ロマンティックなエピソードがあります。
ギリシア語の 「onux」が、オニキスの由来となっているゆえんです。
神の身体の一部には永遠の命が宿り神秘の力を持つと考えられていたため、古代ギリシア人は船乗りを守るお守りとしてオニキスを肌身離さず持ち、中世ヨーロッパでは幽霊や幻を寄せ付けない魔よけの石としてと信じられていました。
その名残もあって、現在でも結婚7周年や結婚17周年を祝う宝石として知られています。
オニキスの主な産地はブラジル、インド、カリフォルニア、ヨーロッパですが、ヴァン クリーフ&アーペルがジュエリーに採用するのは、最も品質の高いブラジル産のオニキスです。
そして最高級のブラジル産オニキスの中でも、不純物を含まず、曇りのない漆黒のオニキスが厳選されています。
またその表面は鏡のように光り輝くよう、完璧なテクニックで磨き上げられています。クールな印象のオニキスは大人の女性から支持され、アルハンブラシリーズの中でも幅広い年齢層に人気がある石となっています。
ターコイズと並んで古代より珍重されてきたラピスラズリは、「星のきらめく天空の破片」とロマンティックな表現で親しまれ、旧約聖書にもその名が登場します。
エジプトとメソポタミアでは、王家に献上するための豪華な品々(円筒印章、動物の像など)に使われました。
またエトルリアリング(エトルリアは古代ギリシア文明と並ぶイタリアの都市国家。緻密な金細工で有名)と呼ばれる、当時の人々がサイン代わりに使っていた印章付きの指輪に使われていたことでも知られています。
また、このラピスラズリという美しい響きの呼び名は、ラテン語で「石」を意味する「lapis」と、アラビア語で「青」を意味する「azul」が組み合わさって生まれました。
名前の由来通りラピスラズリは、その強烈な青色や、まれに見られるバイオレット色が魅力的な石です。
結婚9周年を祝う宝石として、またそして9月の誕生石としても有名なラピスラズリの深くて濃い青色は日本の女性たちからも、もとても人気があります。
ヴァンクリーフ&アーペルでは主にアフガニスタン産の輝きと色合いに優れたラピスラズリを使用しています。
古代エジプトの遺跡からも発見されているように、ターコイズは最も古い宝石として人々に珍重されてきた石です。
晴天のような鮮やかな水色をしたターコイズは、その楽し気な色合いから、古代エジプト人は親しみを込めて「楽しみ」や「喜び」という意味でもある「mefkat(メフカト)」と呼んでました。
その後、十字軍の時代にペルシャ産のこの青い石が、トルコの商人たちによってヨーロッパへ広められたことにより、現在の呼び名「トルコから来た石 / turquoise」と呼ばれるようになりました。
現在でも多くのコレクターが存在する人気の石であり、欧米では結婚11周年(日本では3周年)記念の宝石として親しまれています。
ヴァンクリーフ&アーペルでは厳選されたイラン原産のターコイズを使用しており、「パピヨンシリーズ」で用いられることの多い宝石です。
ちなみに産出地イランではターコイズは国を象徴する石として、「sleeping beauties 眠れる美女」と呼ばれています。
ダイヤモンドに次ぐ硬度を誇る「サファイア」といえば青い宝石というイメージが浮かびます。
実際には、石に含まれるチタン、鉄、クロムなどのわずかな不純物により、ブルー、イエロー、ピンク、オレンジまたはグリーンなど様々な色がありますが、赤色をしたものは「ルビー」と呼び区別しています。
「忠誠心」「誠実」「憧れ」の意味を持つサファイア。内包物がわずかで色ムラのない原石のみだけがヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーを飾るふさわしいサファイアとして選び抜かれています。
以前は「コーンフラワーブルー」と呼ばれたインドのカシミール地方のサファイアが最上とされてきましたが、現在ではカシミール地方のサファイア鉱山は枯渇のため閉山しています。
最も品質の高いサファイアは、マダガスカル、ミャンマー、スリランカ産のものが多くなっています。
石の中で無数の色と光が反射し、夢のようなきらめきが生まれる「遊色効果」、これこそオパールの最大の特徴であり魅力です。
見る人を魅了する遊色によって、オパールは幸せな夢と変化をもたらす石といわれています。
世界各国で特色あるオパールが採石されており、色合いも様々なことから熱心なオパールコレクターが多くいます。
ヴァンクリーフ&アーペルでは、エチオピアのウェロ地方のホワイトクリスタルオパール、オーストラリアのブラックオパール、ペルーのピンクオパール、メキシコのファイアーオパールが選ばれています。
すべて最高級クラスのオパールが産出されるエリアであり、ヴァンクリーフ&アーペルではアルハンブラにはピンクオパールを採用しています。
その硬さと木目の美しさから「木のダイヤモンド」「木の宝石」とも呼ばれるレターウッド。この「幸運を呼ぶ木」といわれる美しい木材が、アルハンブラに採用されたきっかけは、ある日メゾンの屋根裏部屋で、創業者の甥たちが購入した貴重な最上級品質のレターウッドの束が発見されたことでした。
南米にあるガイアナ共和国、スリナム共和国の奥深いジャングルで育つレターウッドは、先住民たちによって育てられ伐採されます。
どこか蛇の斑点を思わせる独特の斑模様、そして赤みを帯びた色合いが美しく、欧米では幸運を呼ぶ木として知られています。
20世紀半ばにはすでに幻の木と呼ばれていたレターウッド(正式名称は「スネークウッド / snake wood」)は、すべて政府の管理下で伐採コントロールされており、現在では年間で4~5本分しか市場に出回らない銘木です。
2015年のホリデーシーズン限定コレクションには、250年以上もの伝統を持つフランスの磁器「セーヴル焼」が採用されました。
ルイ15世の時代にフランス王立窯として強力なバックアップを得て大きく発展したセーブル窯は、現在に至るまで全盛期のロココの香りを失わない美しい陶磁器を生み出しています。
セーブル焼の魅力は、当時の宮廷文化をリードする芸術家たちの美的感覚とアイデアと、卓越した技術を持つセーブル焼き職人たちのコラボレーションが、磁器という白い素材の上に実現していることです。
美しい貴婦人や愛らしい子供、宮廷内の優雅な庭園などのテーマが絵画のように描かれているのがセーヴル焼きの特徴ですが、もう一つ大きな魅力がその色彩にあります。
国王と愛人ポンパドゥールのための「国王の青」と「ポンパドゥールの薔薇色」に加え、芸術家たちの意匠を忠実に再現するために様々な色絵具が生み出されたのです。
アルハンブラに使われているセーブル焼のピンクは、ポンパドゥール夫人がこよなく愛し、食器類に使った色を再現したものです。
しかしセーブル焼は、一般に流通することはまずありません。
生産量が年間約6000ピース程度に限られているうえに、その大部分が国賓への贈答品になるためです。
セーブル焼が「幻の陶磁器」と称されるゆえんとなっています。
ブラウンの縞模様が美しいバーガンディカラーの「ブルズアイ」は、2017年ヴァン クリーフ&アーペルホリデーシーズン限定コレクションにて、はじめてアルハンブラシリーズの素材に使われました。
ブルズアイは、仕事運や金運を呼び寄せるといわれるタイガーアイの仲間の石です。
タイガーアイは石に含まれる鉄分の酸化によって、青、灰緑、黄色、赤に変化を見せる特徴を持っています。
中でもブラウンからバーガンディカラーのバリエーションが美しい、クリアな縞模様を持つブルズアイは、大変希少価値の高いものです。
ヴァンクリーフ&アーペルでは、アルハンブラの四つ葉のクローバーモチーフにふさわしいトップクラスの美しい色合いと縞模様を持つブルズアイのみを使用しています。
そしてこれらのブルズアイは、世界的に有名な産地である南アフリカ共和国のトランスヴァールを中心として集められています。